資産税部門で相続の調査を行うようになると、さまざまな事案にぶつかることになりました。
形のよい土地というばかりではありませんから、その都度いろいろ勉強して覚えていきました。
そうやって勉強してくと、以前に書きました「財産評価基準」が、あながち勝手なものではない(当たり前なんですが・・)ことが私にもわかってきました。もちろん、この「財産評価基準」は、一律の評価を行うための基準ですから、今でも矛盾にぶつかることも多々ありますけどね。
ですから、当時の担当税理士さんも相当頭を悩ませていたんだろうなと、いまさらながら感じています。
中にはこういう事案もありました。(税務署を辞めた立場でも、守秘義務がありますので特定される具体的なことは書けませんけど。)
ある会社の社長さんがお亡くなりになった事案です。そこは会社の株式の評価額はほとんどなく、土地が財産の中心となっておりました。
相続税の調査ということで、後を継いだご長男の宅にお邪魔していろいろ調べておりました。土地についても、実際に現地を拝見しました。
家族名義となっている預貯金(この問題は別の機会にお話します。)等、問題点もいつくかありましたが、土地の評価額を検討してみたところ、どうも評価額が高めではないかと感じました。それで先の「評価基準」等をもとに、自分で再評価を行ったところ評価額が大幅に下がり、なんと、こちらが指摘した問題点を相続財産に入れたにしても、まったく「相続税が算出されない事案」であることが判明しました。
そこで、上司にその事実を説明しました。
「これは、職権で相続税をすべて返すべきです。」と付け加えましたところ、上司も了解し、相続人の方々に相続税をお返ししました。
こういう事例は、ほんとうに稀です。
通常、税務調査に伺って税金を還付することはありませんからね。でも、こういうこともあるのです。
それほど評価は一筋縄ではいかないのです。
そして、私も段々とこの「評価作業」に興味を抱いていったのです。